~母の追憶~

話す機能と
体を動かす機能を
失った母

寝たきりで
過ごす6年9か月半

朝 窓辺のカーテンを
開けて貰う時
おはようの声をかけて貰う時

どれほど嬉しかったか

もどかしさの想いが
ほぐれていく喜び

独り静かに
ものを想うだけの
人の訪れを待つだけの
6年9か月半

目と右手でしか
表現することの
出来なかった6年9か月半

母の想いは きっと
もどかしさと
あきらめとを
超えていたに違いない

その 受容にいたる
長き歳月を想う
冬の窓辺
(2026年2月24日昼)